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国民的乗り物自転車のオランダ人的愛し方

自転車と聞いて思い浮かぶ国は、たいていの人が中国ではないだろうか。天安門広場の前の道路を何車線も連なっての出勤風景など、すっかりおなじみだ。しかしヨーロッパでも、自転車王国といえる国がある。それがオランダ。なにしろ乳幼児を除いて、国民ひとり当たりの所有台数が一・八台という統計が出ているほどだという。中国と同じく通勤・通学にだれもが乗り、国民の代表である王室でも自転車通学経験者がいるうえ、全国に設けられた自転車専用道路は一万キロを超えるし、普通の道路でも大きなものには自動車用・歩行者用のほか自転車専用信号まで設けられているという自転車天国だ。職住接近型のオランダでは、都市部では車より自転車が便利ということはいえる。ただ、オランダ人特有の質素・倹約の国民性からか、一度購入した自転車は乗れなくなるまで使う。そこで、古くなった自転車の部品調達のための盗難も頻繁に起こるようになるのがおもしろい。つまり、自転車丸ごとの盗難ではなく、10年20年を経たような古自転車から、自分の、やはり10年20年を経た自転車に必要な部分だけを失敬していくケースが多い。毎日使っている自転車の保管・駐輪にも個人の工夫が表れる。盗まれないように古い自転車のサドルをはずして停めておいたり、自宅の庭先に停めたりしないで玄関まで持ち込むのはいいのだが、玄関が狭くなるといって天井から吊るしたりというアイデアを駆使するのだ。とことんまで自転車を愛し抜き、寿命まで使おうとするオランダ人らしい工夫は、国の政策にも反映され、郊外には森のなかにサイクリングロードを持つところも多いし、サイクリングと森林浴を楽しめるレジャー施設も多い。

南太平洋の島々でのヤシの実の意味

アメリカではないがハワイの話をしたついでに、南の島のヤシの実の話をしておこう。ポリネシアとかミクロネシアといえばヤシ(榔子)の木陰に南十字星がまたたく風景が定番になっている。だが、その愛すべきヤシについて我々は意外に知らない。平凡社の世界大百科事典を引くと、ヤシ科に属する植物は約250属2500種あり、熱帯から亜熱帯にかけての広い地域に分布している。このうち我々が旅先でよく眼にするのが、ココヤシ、ナツメヤシ、サゴヤシ、ニッパヤシだ。中でもヤシのイメージに近いのが、最も背が高いココヤシである。さてこのヤシ、なぜ植えてあるかというと、まず第一に観光用が目的である。南の島の代表的な風景として、ヤシの樹は南国のホテルやビーチには欠かせないからだ。ところが実際に南の島に行ってみるとヤシの樹の思わぬ一面に出くわす。例えばヤシの樹の下でノンビリ昼寝をと誰もが考えるが、それが頭の上に落ちてくると死につながることもあるのだ。南の島に住んでいる島民は絶対そんなことはしない。何しろ落ちてきたら、ドドーンとものすごい音がするほどヤシの実は重いのだ。特に危ないのは夜で、南の島のホテルでは、寝ていてヤシの実が落ちる音でびっくりして飛び起きることもよくあるのだ。これはヤシガニが樹に登って実を切るからよく落ちるのだ。現在ではヤシガニが棲息する地域も次第に少なくなり、パラオの奥地とかヤップ、口タといった島々に限られる。しかしそうした島を訪れたら、夜遊び回る時にはぜひ上を向いて歩きたい。そのほか島々では熟した実が落ちてくる時が危険だ。どんなヤシが落ちるのか、見分ける方法はただひとつ。ヤシの実の色を見ることだ。完熟して中身がコブラと呼ばれる油脂でいっぱいになったヤシの実は茶色く重い。こんなのを島内で見かけたら、幹の近くを歩かないようにしたい。事実、ハワイやグアムなどの観光地ではヤシの実による死傷者が出ぬよう定期的に実を落としているのだ。

琉球王国の首都

琉球王国の首都は、那覇の東方の丘の上にあり、現在は市内に併合されている首里だった。最初はある王族の邸宅を県庁として接収しようとしたが地元の反発が予想されたことから、首里の外港だった那覇に県庁を置いた。最近では、県庁を本島中部に移転させようという意見もあったが、黒川紀章氏の設計による新しい庁舎をこれまでの県庁の場所に建設したことによって議論に終止符が打たれた。経済は観光、基地、公共事業の三つが支えである。観光の最大の目玉は美しい珊瑚礁で海水浴場をもつ豪華なリゾートホテルも多いし、スキューバダイビングのメッカでもある。琉球王朝の王宮だった首里城は戦争で破壊され、守礼門のみが再建されただけだったが、近年、主殿などが見事に復元された。国の手になるだけに、良くも悪くも採算度外視の丁寧な仕事ぶりが見事である。南部戦跡めぐりには、慰霊のために訪れる人たちに代わって平和の意味を考えさせるということで本土からの修学旅行生も多くなっている。